熱処理加工データ集

真空熱処理

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概要
真空熱処理は、大気圧(1気圧)の10万分の1や1億分の1の圧力において鉄鋼部品の熱処理を行なうため、炉内の酸素濃度が非常に低く、酸化を防ぐとともに製品表面の清浄性が得られる熱処理方法です。
工具や金型は合金元素を多く含む工具鋼によって形成されているために、加熱保持中に酸化を生じやすいが、真空熱処理により、表面酸化が無く、歪みや変形の少ない硬化処理が短時間で可能となります。
目的
真空熱処理は、真空下で加熱するため酸化や脱炭がなく光輝性にも優れています。高真空下での加熱を行なうため、粒界酸化の許されない航空機部品等の真空鑞付けにも使用できます。 また、冷却においては、高圧窒素ガスによる加圧冷却が行われるため、冷却速度が速いことが特徴です。
熱処理方法
真空焼入れにおいては、加熱後の焼入れに炉内での加圧ガス冷却によって冷却を行ないます。 従来の油などの液体を用いた冷却では、液体冷却剤の「蒸気膜段階」、「沸騰段階」、および「対流段階」の3段階によって冷却が行なわれますが、これら3つの段階での冷却速度は大きく異なります。これに対して、焼入れにガス冷却を用いると、冷却過程は単一なため冷却速度に製品の部位による差異が無く、焼入れ歪みや焼き割れが生じにくくなります。
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